我が家の父は、教師です。

 

滝野ですコンバンハ。

 

さて、そんな父と母と妹、一家揃ってスキーに行った時のことを
語らせていただきましょう。

某スキー場近郊に父の馴染みのペンションがありまして、
毎年そこでお世話になっていたんですよ。

そのスキー場、ほとんどのゲレンデがスノーボード禁止。
必然的にボーダーは、ボードOKのゲレンデに集まってしまいます。

滝野はスキーヤーなので(と言うか、ボードに乗るのも怖いし
ボーダーの皆さんも怖いので)のんびりと高所の林間コースなど
滑っているのが常なのですが、レストランなんかの施設は当然
ボードの人でも来れる場所に集中。
お昼時になると、仕方ナシにボードOKのゲレンデまで降りてきて
ご飯を食べ、そそくさと高速リフトに乗って帰るのがお約束でした。

ところがその、お昼を食べに下っているところで事故は起きたのです。

滝野は物心ついた頃から板に乗せられていた(のに激しく上達していない)
ので、スピード出すのが苦手なティキンであるという側面を持ちつつも
そこそこ板慣れしています。

しかし妹君は小学校に上がるまではソリ遊びに興じておられたため、
当時は何とか自分の意思でカーブ・ブレーキが出来るようになったばかり。

ちなみに今は、俺より上手なんですが。

心配なので並んで滑っているところに突っ込んでくるボーダー一名。
フォームを見るに初心者、むしろ突っ込んでくる時点でお察し下さい、
ボード初心者がいきなりリフト乗るんじゃねд´)ノ
そんなにお前ら他人様に迷惑かけて死にたいのかよд´)ノ

と、スキーヤーとして憤慨する間もなく妹君と衝突。

スキーの場合は初心者でも、ストックを使うなり尻餅をつくなりで
非常ブレーキがかかるのですが、ボードだとそうは行かないのです。
下手に転べば即死の可能性もあるので、転んで止まれとも言えませんし。

とにかく大丈夫か怪我してねぇかー、と大急ぎで助け起こします。
ぶつかってきたボーダーの兄ちゃんも、その場で板を外して謝罪。
幸いにもお互い無傷だったのですが、妹の板が足とこんぐらがって
ちょっと面倒なことに……

ゲレンデの中央で邪魔になってるし、急いで外さなきゃ!と
慌てているところに、待ち合わせていた父上が降りてきました。

兄ちゃん「お父さんですか、すみません、ぶつかってしまいまして」
父「怪我はありませんか?」
兄ちゃん「はい、大丈夫です」

やりとりしながらお互いサングラス・ゴーグルを外す父と兄ちゃん。

しばし沈黙。

俺「?」

父「Tやないかーッ?!」
兄ちゃん「うわああぁあ滝野(仮名)先生ー?!」


 

わざわざ恩師(かどうか知らんが)と同じ日に、同じスキー場の
同じゲレンデを滑っており、しかもあえて師の娘にぶつかる

兄ちゃん土下座、父上困惑、俺様唖然で妹は板が外れない。

 

父は水泳部顧問をしていたのですが、その水泳部の部員さんだったのです。

 

これだけなら「面白い偶然もあるなー」で済むんですが、
彼にまつわる伝説は後を絶ちません。

 

例えばこれは、彼が水泳部に所属していた頃の話。

母方の実家が旅館を営んでおり、しかも真ん前は海!というワケで、
父はそこを合宿所として利用していました。

旅館とはいえ身内ですから、食事を質素なものにしてもらい経費削減。
砂浜までは徒歩30秒、隣にはかき氷の店があり、いつでも自由に泳げます。
かなりリッチ(でも経費はチープ)な合宿先だったことは確かです。

その合宿に参加した例の兄ちゃん、実は泳ぐのが滅茶苦茶苦手で
ほとんどカナヅチだったのですが、何を思ったのか防波堤まで
泳いでいってしまいました。

帰れなくなりました。

なんてお約束な……!

 

そんな調子ですから、水泳部所属でも大会なんか夢のまた夢。
しかし高校3年生になり、そんな彼も何とか100メートルを
泳ぎ切ることができるようになりました。

せめて最後の思い出にと、父は彼をリレーに出すことを決定。

先発3人はいずれもエース級、他のチームの追随を許さず、
犬掻きでも一位になれそうなほどの差をつけた状態で彼の番に。

完走(完泳か?)出来ればいい、程度に考えていた父ですが、
もちろん彼だって必死です。最後の大会なんですから。

他の選手に比べれば遅いけど、それでも必死で、彼にしては
驚異的な速度で、懸命に水を掻いて行きます。

父は「目頭が熱くなった」と、未だにその時のことを語ります。

そして何とかリードを保ち続け。

50メートルを泳ぎ切り。

ターンして。

力尽きました。

ゼヒューゼヒューと変な呼吸音を立てつつ浮上。
さながらエラに寄生虫がついて、瀕死になった魚のごとし。

場内騒然。

当然失格。

 

 

つまり我が家では笑い話として語り継がれてきた存在なのですが、
そんな彼も何の因果か某M大学に進学、就職して社会人になりました。
ちょっと抜けてるしスポーツ駄目だけど、脳味噌は優秀だった模様です。

そんな人でも立派に社会人になれるんだもんなぁ、俺も見習いたいなぁ、
などと思っていた矢先、その兄ちゃんが遊びに来られました。

「先生、俺な、初めて長期休暇とってん。オーストラリア行くねん!」

おぉ、その若さで長期休暇を取るとは。
このご時世に、やっぱりこの人、大物かも知れん。

感心しつつ茶を出す俺。
間抜けな伝説も数あれど、やっぱり凄い人だなと思います。

俺は阿呆でもいいから、こういう人になりたい。

そう思った矢先に、

「オーストラリアのビーチで、泳ぎの練習してくるわ!」

俺様硬直。
父上唖然。

麦茶をあおり、「新しい水着も買ったんですよ」と語る兄ちゃん。

「ああ……何処へでも行け。溺れんようにな。
 どんなリゾートでもゴールドコーストでも、絶対貸切やわ」
「ホンマですか! いやぁ嬉しいなぁー、楽しみやなぁー」

オーストラリアは南半球だよと教えてあげるべきだったのでしょうか……

只今の滝野、彼が真冬のオーストラリアに半そで半ズボン、
サングラスに海パンまで持って出かけていったのではないだろうかと
非常に心配です。

そんな人でも某大学に進学できて、立派に社会人やってるというのが
更に心配です。

 

現在滝野が所属しているクラス、「日本の科学の最先端」の卵たちとして
育てられている割に知能レベルが低いので心配してましたが、杞憂でした。

 

 

この国はもう駄目だ。

 

 

確信を覚えつつ、最先端科学に関する考察を続ける今日この頃。
もう専門書ダルいから、あとがきと解説だけ読むことにするよ(ぇー?!

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