文化祭まであと一週間。
馬鹿馬鹿しいから参加しない。
つもり、だった、のだけど。
一週間しかないくせに、あんまり何も出来ていなかったから。
「いつものメンバー」って言われる人たち以外、誰も残らなかったから。
そのメンバーが、あんまり付き合わないクラスメイト達の中で、
いくらか交流のある部類の人たちだったから。
文化祭、点呼だけ出て帰るつもりだったけど、その時に彼らが
しょぼくれているのを見るのはウンザリだと思ったから。
ボード塗るの手伝ってきた。滝野ですコンバンハ。
「ふつーに描いてあるけど何なんやろ、この木」
「♪このー樹何の樹気になる樹ー」
「あのCMの樹、ブロッコリーにしか見えんよ」
「山描けたー」
「はぁ? 黄土色の上に黄緑塗っただけやん……」
「プリンの抹茶カラメルソースがけにしか見えない」
滝野は称号「くいいじおう」を得ました。
「俺の魂の叫びを聞けー」
「画伯! ご乱心ですか! 画伯ー!」
「芸術じゃなくて脳が爆発しやがった……」
滝野は称号「ツッコミのおに」を得ました。
「はうわわわわわぅあ!」
「どうしたん?!」
「髪の毛にペンキついた……」
「……長いのに結んどかへんから……」
滝野は称号「きせいのあるじ」を得ました。
滝野は称号「ものぐさロンげ」を得ました。
「そっちのマイアサウラ、『茶色で塗って』やってー」
「まいあ……?」
「あ、ごめん、そこに描いてある恐竜のことな」
「普通そんな恐竜の名前知らんってー」
滝野は称号「きょうりゅうはかせ」を得ました。
「日曜ってほら、ワンピース見るついででこち亀観るねん」
「ってお前、日曜アニメ見るんか! いい年して……」
「えー、ワンピースやったらうちも漫画読むよー」
「うんうん、めっちゃ泣くよねー。あの、ミカンの人が好き」
「ナミさん?」
「違う違うー」
「あ、分かったベルメールさん!」
「そうその人!」
「……女子でも読むんやなぁ……」
「俺はウソップが好きだなー`)」
「えー?!」
滝野は称号「しょうねんまんがスキー」を得ました。
滝野は称号「いろものキャラスキー」を得ました。
「うち今、キューブでファイアーエムブレムやってるわー」
「うちはキングダムハーツやってんで。新しいやろー」
「えー、私そんなのできひんからマリオカート」
「……女子がゲーム談義してるのなんて珍しいよな……」
「普通にやるって。俺は今メダロットやってるし」
「あ、誰かバイオハザード持ってたら貸してくれへん?」
「あんなゲーム怖くて出来ません、でも弟切草は好きー」
滝野は称号「ゲームおたく」を得ました。
滝野は称号「メダロッター」を得ました。
滝野は称号「ビビりやさん」を得ました。
ペンキまみれになったりとか、お菓子食べたりとか。
少し将来を案じてみたりとか、勉強の話もしてみたりとか。
なんでかオタクネタが多かったりもして(俺のせいか?)。
やたら男子に笑われた気もしたけれど、それは放っておく。
彼らとの間の壁を作っていたのは、俺の方。
これ以上歩み寄ることもないと思うのだけれど。
普段話さない人との珍しい会話、ペンキのにおい、小さい焦り。
忘れてしまう。
きっと、どんどん忘れてしまう。
自分が全然、「高校生」を謳歌してないことを、忘れてしまう。
中学生をし損ねて、高校生をし損ねて、損してることを忘れてしまう。
スタレて、老けて、一応の大人になって、きっと全部忘れてしまう。
草の香にも似てツンとする、あの文化祭の廊下のにおいとか。
遠くの教室から聞こえてくる音楽と、いくつもの足音だとか。
気が付いたら真っ暗になっている空の、かすかに暮れ残った紺碧とか。
上着脱いで、豪快にハケ使って、最初は「いけね、わき毛剃るの
忘れてた……」なんて気にしてたのに、途中からどうでも良くなった。
「どうせ長い付き合いになるワケでもなし」って、素で受け答えしてたら、
結構楽しかったりした。
なんか、その場にいた人からの評価、だいぶ変わったみたいだった。
「気難しくて、もっと大人な人かと思ってたー」
俺が子供っぽいとゆー意味か、とツッコんだら、大笑いされた。
帰り道、連れの女の子が転んだ。
「そう言えば俺、ここ何年か転んでねぇ」
「そうなん?」
「うん、よくつまづくんやけどね」
そんな会話をしながら駅の階段を上ってたら、つるんと滑った。
あ、と思った時には、階段の下に転げ落ちて尻餅をついていた。
滝野は称号「ドリフターズのいちいん」を得ました。
「うわ、タイミングドリフ並み」
「大丈夫ー? 痛くない?」
「うひはははははは、ツボ入った!」
ここ何年も、本当に転んだことなんかなかったのに。
コラそこ笑うなよ、本当だってば。
大笑いされ、助けに差し伸べられた手を押し返しながら、妙に安心した。
なんだ。
このまま、俺はただの馬鹿な大人になるのかと思っていた。
年取っただけのクソガキみたいな、そんな大人になるのだと思っていた。
でも、ゲームするし、漫画好きだし、児童書読むし、お菓子好きだし、
一番好きな料理は母のハンバーグだし、怖がりだし、間も抜けてるし、
こんな文章日記に垂れ流す程度には青臭いし、
なんだ。
俺、まだまだ大馬鹿のガキでいられるみたいだ。
何故だか気持ちが楽になった、そんな青い春の末(自称)のこと。
関係の無い追記:
これを書いている間中、妹君が「ジャンヌダルク」を見ていました。
滝野の耳には、主人公の声が中嶋陽子(@十二国記)に聞こえて
仕方ありませんでした……て言うか、最初は「十二国記」を
見ているものとばかり思っていましたよ。TV見てなかったから。
だって声優さん同じだったしキャラの台詞もそれっぽいんですよぅー、
などと言い訳がましく言いつつ、十二国記のビデオが見たい。
ついでに夢に見たせいで、久しぶりに「おジャ魔女どれみ」が
見たくなってきた今日この頃。何故そんな夢を見たのかは永遠の謎です。
馬鹿馬鹿しいから参加しない。
つもり、だった、のだけど。
一週間しかないくせに、あんまり何も出来ていなかったから。
「いつものメンバー」って言われる人たち以外、誰も残らなかったから。
そのメンバーが、あんまり付き合わないクラスメイト達の中で、
いくらか交流のある部類の人たちだったから。
文化祭、点呼だけ出て帰るつもりだったけど、その時に彼らが
しょぼくれているのを見るのはウンザリだと思ったから。
ボード塗るの手伝ってきた。滝野ですコンバンハ。
「ふつーに描いてあるけど何なんやろ、この木」
「♪このー樹何の樹気になる樹ー」
「あのCMの樹、ブロッコリーにしか見えんよ」
「山描けたー」
「はぁ? 黄土色の上に黄緑塗っただけやん……」
「プリンの抹茶カラメルソースがけにしか見えない」
滝野は称号「くいいじおう」を得ました。
「俺の魂の叫びを聞けー」
「画伯! ご乱心ですか! 画伯ー!」
「芸術じゃなくて脳が爆発しやがった……」
滝野は称号「ツッコミのおに」を得ました。
「はうわわわわわぅあ!」
「どうしたん?!」
「髪の毛にペンキついた……」
「……長いのに結んどかへんから……」
滝野は称号「きせいのあるじ」を得ました。
滝野は称号「ものぐさロンげ」を得ました。
「そっちのマイアサウラ、『茶色で塗って』やってー」
「まいあ……?」
「あ、ごめん、そこに描いてある恐竜のことな」
「普通そんな恐竜の名前知らんってー」
滝野は称号「きょうりゅうはかせ」を得ました。
「日曜ってほら、ワンピース見るついででこち亀観るねん」
「ってお前、日曜アニメ見るんか! いい年して……」
「えー、ワンピースやったらうちも漫画読むよー」
「うんうん、めっちゃ泣くよねー。あの、ミカンの人が好き」
「ナミさん?」
「違う違うー」
「あ、分かったベルメールさん!」
「そうその人!」
「……女子でも読むんやなぁ……」
「俺はウソップが好きだなー`)」
「えー?!」
滝野は称号「しょうねんまんがスキー」を得ました。
滝野は称号「いろものキャラスキー」を得ました。
「うち今、キューブでファイアーエムブレムやってるわー」
「うちはキングダムハーツやってんで。新しいやろー」
「えー、私そんなのできひんからマリオカート」
「……女子がゲーム談義してるのなんて珍しいよな……」
「普通にやるって。俺は今メダロットやってるし」
「あ、誰かバイオハザード持ってたら貸してくれへん?」
「あんなゲーム怖くて出来ません、でも弟切草は好きー」
滝野は称号「ゲームおたく」を得ました。
滝野は称号「メダロッター」を得ました。
滝野は称号「ビビりやさん」を得ました。
ペンキまみれになったりとか、お菓子食べたりとか。
少し将来を案じてみたりとか、勉強の話もしてみたりとか。
なんでかオタクネタが多かったりもして(俺のせいか?)。
やたら男子に笑われた気もしたけれど、それは放っておく。
彼らとの間の壁を作っていたのは、俺の方。
これ以上歩み寄ることもないと思うのだけれど。
普段話さない人との珍しい会話、ペンキのにおい、小さい焦り。
忘れてしまう。
きっと、どんどん忘れてしまう。
自分が全然、「高校生」を謳歌してないことを、忘れてしまう。
中学生をし損ねて、高校生をし損ねて、損してることを忘れてしまう。
スタレて、老けて、一応の大人になって、きっと全部忘れてしまう。
草の香にも似てツンとする、あの文化祭の廊下のにおいとか。
遠くの教室から聞こえてくる音楽と、いくつもの足音だとか。
気が付いたら真っ暗になっている空の、かすかに暮れ残った紺碧とか。
上着脱いで、豪快にハケ使って、最初は「いけね、わき毛剃るの
忘れてた……」なんて気にしてたのに、途中からどうでも良くなった。
「どうせ長い付き合いになるワケでもなし」って、素で受け答えしてたら、
結構楽しかったりした。
なんか、その場にいた人からの評価、だいぶ変わったみたいだった。
「気難しくて、もっと大人な人かと思ってたー」
俺が子供っぽいとゆー意味か、とツッコんだら、大笑いされた。
帰り道、連れの女の子が転んだ。
「そう言えば俺、ここ何年か転んでねぇ」
「そうなん?」
「うん、よくつまづくんやけどね」
そんな会話をしながら駅の階段を上ってたら、つるんと滑った。
あ、と思った時には、階段の下に転げ落ちて尻餅をついていた。
滝野は称号「ドリフターズのいちいん」を得ました。
「うわ、タイミングドリフ並み」
「大丈夫ー? 痛くない?」
「うひはははははは、ツボ入った!」
ここ何年も、本当に転んだことなんかなかったのに。
コラそこ笑うなよ、本当だってば。
大笑いされ、助けに差し伸べられた手を押し返しながら、妙に安心した。
なんだ。
このまま、俺はただの馬鹿な大人になるのかと思っていた。
年取っただけのクソガキみたいな、そんな大人になるのだと思っていた。
でも、ゲームするし、漫画好きだし、児童書読むし、お菓子好きだし、
一番好きな料理は母のハンバーグだし、怖がりだし、間も抜けてるし、
こんな文章日記に垂れ流す程度には青臭いし、
なんだ。
俺、まだまだ大馬鹿のガキでいられるみたいだ。
何故だか気持ちが楽になった、そんな青い春の末(自称)のこと。
関係の無い追記:
これを書いている間中、妹君が「ジャンヌダルク」を見ていました。
滝野の耳には、主人公の声が中嶋陽子(@十二国記)に聞こえて
仕方ありませんでした……て言うか、最初は「十二国記」を
見ているものとばかり思っていましたよ。TV見てなかったから。
だって声優さん同じだったしキャラの台詞もそれっぽいんですよぅー、
などと言い訳がましく言いつつ、十二国記のビデオが見たい。
ついでに夢に見たせいで、久しぶりに「おジャ魔女どれみ」が
見たくなってきた今日この頃。何故そんな夢を見たのかは永遠の謎です。
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