街路樹

2004年10月28日 日常
街路樹がキレイだったんだ。

黄色い街路樹が、キレイだったんだ。

落ち葉を踏んで歩くのが、結構好きだった。

 

いくつか前の秋からは、街路樹の枝が切られるようになった。

すごいイラガが付くとか、朽葉が邪魔だとかで、苦情が出たから。

だから、夏の終わり、冬に枯れない程度に光合成を済ませた枝を、
全部切り捨ててしまうようになった。

もう、黄色い枯葉に足元すくわれることは、無い。

 

何度も何度も枝先だけを切ったから、

何度も何度も切られた場所が、太くなる。

何度も何度も夏のたび、街路樹は小枝を伸ばし、

何度も何度も秋のたび、誰かがそれを切ってきた。

年々太くなる枝の先が、今年もまた、剥き出しになった。

 

満月かどうかは知らない、綺麗な丸い丸い月の下で、

ビロードのように滑らかな濃紺の夜空の下で、

幹と枝だけ空に向けた街路樹。

 

月に向けて無数の拳が突き出されてるようにも見えたし、

月を求めて無数の手が伸ばされているようにも見えたし、

どちらにしても、それは飢えて苦しいような景色だった。

 

試験最終日の、少し遅い帰り道で見た光景。以上。

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