街路樹がキレイだったんだ。
黄色い街路樹が、キレイだったんだ。
落ち葉を踏んで歩くのが、結構好きだった。
いくつか前の秋からは、街路樹の枝が切られるようになった。
すごいイラガが付くとか、朽葉が邪魔だとかで、苦情が出たから。
だから、夏の終わり、冬に枯れない程度に光合成を済ませた枝を、
全部切り捨ててしまうようになった。
もう、黄色い枯葉に足元すくわれることは、無い。
何度も何度も枝先だけを切ったから、
何度も何度も切られた場所が、太くなる。
何度も何度も夏のたび、街路樹は小枝を伸ばし、
何度も何度も秋のたび、誰かがそれを切ってきた。
年々太くなる枝の先が、今年もまた、剥き出しになった。
満月かどうかは知らない、綺麗な丸い丸い月の下で、
ビロードのように滑らかな濃紺の夜空の下で、
幹と枝だけ空に向けた街路樹。
月に向けて無数の拳が突き出されてるようにも見えたし、
月を求めて無数の手が伸ばされているようにも見えたし、
どちらにしても、それは飢えて苦しいような景色だった。
試験最終日の、少し遅い帰り道で見た光景。以上。
黄色い街路樹が、キレイだったんだ。
落ち葉を踏んで歩くのが、結構好きだった。
いくつか前の秋からは、街路樹の枝が切られるようになった。
すごいイラガが付くとか、朽葉が邪魔だとかで、苦情が出たから。
だから、夏の終わり、冬に枯れない程度に光合成を済ませた枝を、
全部切り捨ててしまうようになった。
もう、黄色い枯葉に足元すくわれることは、無い。
何度も何度も枝先だけを切ったから、
何度も何度も切られた場所が、太くなる。
何度も何度も夏のたび、街路樹は小枝を伸ばし、
何度も何度も秋のたび、誰かがそれを切ってきた。
年々太くなる枝の先が、今年もまた、剥き出しになった。
満月かどうかは知らない、綺麗な丸い丸い月の下で、
ビロードのように滑らかな濃紺の夜空の下で、
幹と枝だけ空に向けた街路樹。
月に向けて無数の拳が突き出されてるようにも見えたし、
月を求めて無数の手が伸ばされているようにも見えたし、
どちらにしても、それは飢えて苦しいような景色だった。
試験最終日の、少し遅い帰り道で見た光景。以上。
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