♪今こそ立ち上がれ　運命の戦士よ

♪稲妻の剣で　敵を蹴散らせ
♪安らぎを夢見る　鋼の勇者よ
♪守るべき未来と愛を

妹「……」
僕「……」
妹「……」
僕「……おはよう」
妹「ええよ？　続き歌ったら」

　

恥ずかしくて死にたくなったけど、僕は何とか生きています。
永久へーッ！って熱唱する前に気づいて本当に良かった。

頭が痛いのに鎮痛剤が使えない……その状態であえて頭に響くような
熱血ソングを口ずさむ、僕は真性マゾヒストらしいですコンバンハ。

妹はてっきりバイトに出かけたものと思っていたのに、精神的責め苦まで
加算されるとは予想せなんだ。

　

今のこの感触、たぶん、身近な人を亡くした時によく似ている。

後を追う気もないけれど、ぽっかりと穴が開いて塞がらない。
居なくなってしまったという、解消不能の事実ばかりが重い。

でも、今の僕は誰を亡くしたわけでもないから、「なくしてしまった」の
主語の部分がいつまで経っても埋まらないんだな。

悲しくて胸郭が食い破られそうなのに、誰の何が、どうして悲しいのか、
それが分からなくて困っている。

痛みは訴えることで和らげるものだけど、何が痛いのか分からない。
分からないのに、確かに痛くて動けないから、困っている。

　

音波の力を借りて、証明されるのは身体の正常。
脳にも内臓にも、悪いトコなんかひとつもない。

なら検査費を返してくれ、と言いたいところだけど、彼らは彼らで
然るべき調査をしてくれたのだから、それは仕方がない。

脳のクリーンアップ・デフラグとウィルスチェック、あと何世紀したら
実用化されるのかなぁと思ったりする今日この頃。

壊れているのはハードウェアじゃなくて、きっとソフトウェアの方だよ。